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外国人観光客 1,000万人を突破!!
最近の報道でよく目にするのが、円安による外国人観光客の増加により、都内をはじめとする日本の各地で、民間の公共宿泊施設が足りず、違法な民泊が増加傾向にあるというニュース。
主に中国、台湾、韓国人観光客の姿が多いとの事ですが、観光客の増加は日本にとってはとても良いことだと思います。
今年に入ってから急に外国人観光客が増えた!と世間が注目し始めましたが、そもそもこの外国人観光客、一体いつごろから増加傾向だったのでしょうか?
遡る事2003年1月、小泉内閣総理大臣が施政方針演説で、
「2010年に訪日外国人旅行者1,000万人を目指す」と発言し、2010年4月より「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が開始されたのが皮切りのようです。
このビジット・ジャパン・キャンペーンとは、外国人観光客に対して、各種割引等のキャンペーンや観光ビザの緩和等を行った政策の事を言います。
それ以降、外国人観光客は軒並み来訪者数が増え続けました。
2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災で大幅に来訪者数を落とすも、その震災以降は急激に伸び続け、2年後の2013年には過去最高の1,036万人を突破したとの事です。
小泉元首相の目標であった「2010年に1,000万人」に関しては、リーマン・ショック等の影響もあり、実現は難しかったようですが、それでもあの未曾有の大震災後の2年後に目標の1,000万人突破とは凄いですね....日本って。でもこれは、小泉元首相の政策の影響のみではなく、円安の影響や震災後の日本を応援しようとする海外の動きが活発化したから実現し得たものでもあると考えます。
2年前の2013年のデータで恐縮ですが、その外国人観光客の増加による観光消費額は22,4兆円、生産波及効果では46,4兆円とも言われています。
思い切り、日本経済を支えてくれていますね!!。
外国人観光客の皆様に感謝しなければなりません。
でも、ちょっと待った!!
外国人観光客の増加により、日本経済が活性化するのは大変喜ばしい事であり、旅館業を営む私としても今後の見通しが立てやすくなり、一見はいいことずくめのように見えます。
しかし、様々な問題もおこっているのも事実。
宿泊施設が足りない!!
これはまさに、政府政策の落とし穴でしょうね。
外国人観光客を1,000万人まで増やす。この政策に対して、国内の宿泊施設のキャパの試算はしたのでしょうか??
1,000万人まで増やすと言うのならば、受け皿となるべき宿泊施設の増加も同時進行で進めなければ、増えた観光客は一体どこに泊まれば良いのでしょうか?。
結果的に受け皿となるべく白羽の矢が立てられたのは 「民泊」 という方法でした。
これは字を読んでの通り、個人宅に宿泊するという方式です。
外国人観光客と日本の個人宅との間に仲介役となる民間の業者(AirBandBなど)が入り、日本の個人宅の方で ”ホスト” と呼ばれる受け入れ先をインタ-ネットを通じて募集(登録)し、また、外国人観光客にはそのホスト先を紹介・斡旋して中間マージンを取るという手法。外国人観光客にとってみても、民間のホテル・旅館を利用するよりも安価で宿泊することが出来ます。
しかしながらこの民泊、実情は法の間を掻い潜りながらのまさにグレーゾンとも聞きます。一部の方だけかも知れませんが。
そもそも人を泊めるという ”業” には、旅館業法 という立派な法律があり、その業法を遵守しなければ、人様を泊めてお金を取ってはいけないのですよ!。
ご参考までに、下記に旅館業法を抜粋したものを記します。
◆旅館業法◆
1、【旅館業の定義】
旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされている。旅館業は「人を宿泊させること」であり、生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれない。
また、「宿泊料を受けること」が要件となっており、宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けない。
なお、宿泊料は名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料と見なされるものは含まれる。例えば、休憩料はもちろん、寝具使用料、寝具等のクリーニング代、水道光熱費、室内清掃費も宿泊料とみなされる。
2、【旅館業の種別】
- ホテル営業
洋式の構造物及び設備を主とする施設を設けてする営業である。 - 旅館営業
和式の構造物及び設備を主とする施設を設けてする営業である。いわゆる駅前旅館、温泉旅館、観光旅館の他、割烹旅館が含まれる。民宿も該当することがある。 - 簡易宿所営業
宿泊する場所を多人数で共用する構造及び設備を設けてする営業である。例えばベッドハウス、山小屋、スキー小屋、ユースホステルの他カプセルホテルが該当する。 - 下宿営業
1ヶ月以上の期間を単位として宿泊させる営業である。
3、【営業の許可】
旅館業を経営するものは、都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長または区長)の許可を受ける必要がある。旅館業の許可は、旅館業法施行令で定める構造設備基準に従っていなければならない。旅館業の運営は、都道府県の条例で定める換気、採光、照明、防湿、清潔等の衛生基準に従っていなければならない。
4、割愛します
5、【宿泊させる義務等】
旅館業者は、伝染病の疾病にかかっている者や風紀を乱すおそれのあるもの等除き宿泊を拒むことはできない。また、宿泊者名簿を備えておかなければならない。
宿泊者名簿は、「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存における情報通信の技術の利用に関する省令」第4条第1項の基づき、電磁的記録による保存が出来る。
⇩こんな許可証が必要です。
だから、 旅館業は大変なのです。
皆様に旅館業法の法令を見せたところでどうという訳ではないのですが、これから話を進める為には是非ともご一読頂きたかったのです。
現在の旅館の建築確認申請を取る以前、2013年から2014年にかけて、所轄の消防署の予防係と宮古保健所の環境衛生課に何度足を運んだか分かりませんが、旅館業を営む場合、まず都道府県知事の許可が必要です。その都道府県知事の許可を得るために必要な資格が、
●防火管理者
●調理師免許
です。
この2つが無いと、旅館業業を始められません。
消防のほうは、お世話になったメーカーさんが設計前に何度も打ち合わせをしてくれていた事もあり、比較的スムーズな流れで事は進みましたが、問題は保健所。
厨房設備と浴室、トイレの便器の数量も、収容定員に見合った数(面積)が細かく定められており、それはそれは御担当者とかなり揉めましたョ......。
お陰様で浴室の面積を大きくしたばかりに、厨房と食堂が狭くなってしまいました。
ま、それは置いておき.....ですね、本題です。
民泊って本当に大丈夫なの?
前置きが長くなってしまいましたが、外国人観光客が増え続け、既存の宿泊施設のキャパでは受け入れが難しくなった昨今、民泊というある意味非合法(にやっているひともいる)な?手段が当たり前のようにやられるようになりました。
政府も対応に追われているようですが、追われて当たり前です。
何の試算もしていないのですから。
もはや民泊は無法地帯もいいところです。上記のような旅館業法の許可などを受けていない方々も、平気で人様を自宅または空室へお泊めになり、お金を頂戴しているのですから。
旅館業はそんなに簡単なものではありませんよ!!
人様に召し上がって頂けるような心のこもった美味しいお料理をお出しして、法で許可されただけの施設設備にしっかり投資して、快適な滞在環境をご提供されているのでしょうか??とても心配です。
にわか仕事で出来るような、甘っちょろい仕事ではないのです。
おもてなしの国、日本
オ・モ・テ・ナ・シ......おもてなし......(合掌)
おもてなしの国、日本。
民泊で本当におもてなし出来ているのでしょうか?
外国人の方は本当に、受けた民泊サービスに対して対価をお支払いして、満足して母国へと戻ってくれているのでしょうか?
一部の外国人が、民間の業者が不正に又貸しした民間のアパートやマンションに外国人観光客を招き入れ、宿泊料を貰い摘発されたというニュースもありました。
その対価で満足される外国人のかたはそれで宜しいと思いますが、せっかくおもてなしの国日本に来たのであれば、しっかりとした旅館業法の許可を得て営業している民間の宿泊施設に泊めてあげたいのです。
国民性を問われるモラルやマナーは、ここでは敢えて触れません。
旅館業として、正式な手続きを通じ、多額の設備投資をして営業している我々には、厳しい建築基準や防火基準、衛生基準を遵守させようとしる傍ら、この無法地帯を現状は暗黙の了解で認可?している政府、そして厚生労働省は一体何やってんだよ!!という話です。
政府は、2016年までにはしっかり民泊に対する法整備をすると名言していますが、こうなってからでは遅いと思います。何事も初めが肝心なのです。
この問題に関しては、今に起きた問題では無く、2010年に外国人観光客を1,000万人まで増やすと発言した瞬間から始まっていたのかも知れません。
民泊を全否定している訳ではありません。むしろ、日本人らししっかりとしたおもてなしができるのであれば、今後施行されるであろう法律を遵守して、どんどん広がっていくことは日本にとっては、とてもいいことなのです。
しっかりとした、 ”おもてなし” を日本人が一体となって実現したいものです。
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