震災に負けず立ち上がった宮古の名も無き旅館の記録

みかわ旅館のブログ

宮古室蘭フェリー航路開設の概要

2017年5月14日

宮古室蘭フェリー開設まであと1年 宮古~室蘭フェリー開設まであと1年

震災から6年が過ぎて~

なんて記事を書いたのがもう3ヶ月前ですか!?。

そうこう言っているうちに、宮古室蘭フェリーの開設まであと1年を切るって一体どれだけのどれだけの人が認知しているんでしょう!?。

いや、自分もあと2年で~とか言われていた去年の情報で自分の中の時間が止まっていまして、すっかり頭から「あと〇〇年で~」とか考えている暇もないくらい、世の中の変化するスピードについて行けていません。

ブログのテンプレートも一新してユーザビリティーも向上させたのに、全く更新する気配もないブログとなってしまいましたので、読者さんもすっかり離れてしまった事でしょう。

24時間という時間を全くと言っていいほど上手にコントロール出来ていない私も久々にブログを更新する気にさせたのは、タイトルの通り 「宮古室蘭フェリー開設まであと1年」という事実を目の当たりにしたからなのです。

今回はそんな記事を書きます。

 

 

時刻表

時刻表も正式に発表となりました。

宮古発/  8:00 ▶ 室蘭着/18:00

室蘭発/20:00 ▶ 宮古着/06:00

航路 326km、10時間の船の旅。

宮古発が 朝の8:00 なので乗船手続きは AM6:00~6:30 頃から開始されるとのことです。宿屋さんに宿泊しているお客様は、遅くとも AM5:30~6:00 の間に宿を出なければならない訳ですね。

となると、宿泊施設で朝食を提供する場合、AM4:30~AM5:30 に食事スタートという計算になります.......。という事は、我々宿泊施設はAM3:00頃から朝食をスタンバイしなければならないという段取りとなる訳です。

現時点では宮古市内の宿泊施設でこの時間に朝食を提供している宿泊施設はありません。宮古市内に限らず、私が知る限りではこんな早朝から食事を提供している宿泊施設は聞いた事がありません。

当館は AM6:00 からの提供開始で、市内では最も早い提供開始時刻です。

宮古発のフェリーに乗船するために前泊されるお客様は、夕食付き/朝食なしプランを選択するのが一般的になりそうです。

宿屋さんで足並みを揃えるのは難しいでしょう。

 

 

 室蘭から本県に入られるお客様の動向

朝の6:00に宮古着という時刻表を考えると、色々と考えなければならない事があります。

まず、飲食店もまだOPEN前です。

朝の6:00ですから街も眠りから冷めていない状態で、観光スポットも人もまばらです。

お客様はフェリー内で夜のうちにしっかりと休まれて来ると考えると、宮古到着後すぐに盛岡方面や平泉、仙台、都心方面に移動される事が予測されます。

また、北海道に戻る際も、どこかで観光した後に前泊で宮古市内に宿泊されたとしても、宮古市内を観光して回る時間的な余裕があるのかどうか?。翌朝に宮古から室蘭に戻る際の乗船手続きがAM6:30という時間を考えると、当日の朝は宿を出てフェリーターミナルに直行というパターンが考えられます。

観光客さんが宮古市と密接に繋がるような理想的なシュチュエーションがなかなか思いつきません。

しかも、今の宮古市には一日を通して楽しめる観光スポットがありません。

宮古市から釜石方面、岩泉~北山崎と半径50km圏内を通じてルートを選定してスポット化するしか手立てはないですね。

マイカーで宮古市に来て頂く事を考えると殆どがクルマ移動となるでしょうから、滞在中の時間的な余裕を考えると北海道も東北もクルマ移動のほうが断然有利なのは言うまでもありません。

何が言いたいのか?と言うと、宮古市単体でみたときの経済効果がどれほど期待出来るか?という事です。

朝6:00着のフェリーのお客様を受け入れるだけの器が宮古市にあるのかどうか?。

真剣に議論する必要がありそうです。

 

 

運賃

運賃と時刻表が正式に発表になりましたので、下記に記します。

■旅客運賃表(片道・税込)        (単位:円)

         旅客運賃 一般 団体
大人
※中学生以上
特等       15,000       13,500
1等       12,000       10,800
2等寝台        8,000        7,200
2等        6,000        5,400
小児
※小学校に就学している小児
特等        7,500        6,750
1等        6,000        5,400
2等寝台        4,000        3,600
2等        3,000        2,700
学生 2等寝台        6,800        6,000
2等        4,800        4,200
船室貸切                      船室非利用人数×一人当運賃×50%

■車両運賃(片道・税込)        (単位:円)

              乗用車運賃
       4m未満                   20,800
       5m未満                   26,000
        6m                    31,200

 ■特殊手荷物運賃(片道・税込)     (単位:円)

           自転車・オートバイ運賃
       自転車        2,600
       125cc以下        5,200
       125cc超        7,300
       750cc超        9,400

 ■トラック運賃(片道・税込)   (単位:円)

             トラック運賃
        7m未満        40,700
        8m未満        46,500
          9m未満        52,300
      10m未満        58,100
         11m未満        63,900
      12m未満        69,700
      13m未満        75,500
      14m未満        81,300
      15m未満        87,100
      16m未満        92,900
      17m未満        98,700
      18m未満       104,500

フェリーは一般的な公共交通機関と比べても、移動距離の割にはとてもリーズナブルな値段設定が嬉しいです。勿論、移動時間が掛かってしまう事は仕方の無いことですが、時間的に余裕があってマイカーを持ち込んで気軽に旅行したいという旅行者であれば、フェリーを利用して宮古~室蘭を手段として考える方は増えそうです。

 

 

 将来の宮古市から他の都市への移動時間

復興道路と呼ばれる三陸縦貫自動車道や宮古盛岡横断道路の整備が平成32年の全線開通を目指し、現在過去に例を見ないスピードで進捗しています。

しかも宮古~仙台間は一部の区間(石巻~仙台間)を除き無料共用されます。

宮古市から東北道経由で仙台に入るとすると、普通車で¥4.300の料金が掛かります。移動時間についても、宮古~盛岡間(宮古盛岡横断道路)で1時間15分、盛岡仙台間(東北道)で1時間45分、休憩時間を考慮しないと述べ3時間の移動時間。

三陸縦貫道では、宮古~仙台間の230kmを2時間30分弱で結ぶ計画です。

      経由路線名            区間 所要時間    料金
東北道経由 国道106号線~東北道 盛岡南~仙台宮城    3時間 ¥4,270
三陸道経由 三陸縦貫道 宮古中央IC~仙台東IC 2.5時間   ¥1,080

当然、宮古から仙台を目指すなら、観光目的でない限りは三陸道を経由したほうが料金的にも時間的にも有利となります。

岩手県民としては県内でも有数の峠の難所として知られる国道106号線で、いままで2時間掛かっていた盛岡までの移動が1時間15分で結ばれるというのは夢のような話なのです。

また、この移動時間と料金については、一般市民だけの得策というものではなく物流についても同じことが言えます。

荷物を運ぶことを商売としている運送業にとっては都市と都市を結ぶ移動時間と輸送コストを考える上ではとてもシビアな問題です。

最も、この復興道路の計画が無ければ宮古~室蘭間のフェリーの話など無かったと言います。

この新航路は運送業界にとっても期待せずにはいられない計画と成り得るのは言うまでもありません。

 

シルバークイーン

<主要諸元>
■総トン数 / 7,005t
■全長 / 134.0m
■航海速力 / 20.7ノット
■車両積載力 / 乗用車20台、トラック69台(12m換算)
■最大搭載旅客定員 /600名
特等室10名(2名×5室)
1等室88名(和洋室4名×15室)
(洋室4名×2室)
(和室4名×5室)

2等寝台60名、2等室362名、ドライバーズルーム80名

 

 

   特等    1等   2等寝台
トイレ    ◯     -      -
浴室    ◯     -      -
洗面台    ◯    ◯      -
寝具    ◯    ◯    ◯
浴衣    ◯    ◯      -
バスタオル    ◯     -      -
歯ブラシ    ◯    ◯      -
石鹸・タオル    ◯    ◯      -
シャンプー    ◯           -      -
スリッパ    ◯    ◯      -

 

このシルバークイーンは、現在八戸~苫小牧間で使用しているフェリーなんだそうですが、八戸~苫小牧間に新造船が投入されるとのことで、そのお下がりが宮古~室蘭間で使用されるようになるとの事。

有り難い事ですね。

かつて宮古港は、貿易による貨物量も相当数あったようですが、年々その貨物量も減少しています。国が指定する重要港湾であるのにとても寂しい限りです。

最盛期には常時2隻あったタグボートも今やゼロとなっていますが、来年の航路開設に向けて国交省と県や市が予算を組んで調整中とのこと。

 

 

 フェリー料金シュミレーション

では、家族旅行にマイカーで宮古室蘭のフェリーの旅をする際の料金シュミレーションをしてみましょう。

パパ、ママ、中学生1名、小学生1名の家族構成で、マイカーは普通車という想定で室蘭宮古間に乗船時の料金比較です。

 

【家族4名】普通車で最安料金 "2等" での乗船

■大人3名     6.000円×3=18.000円
■小学生1名        3.000円×1=  3.000円
■ 普通車(4m未満)           20.800円
                                     計       41.800円

【家族4名】普通車でちょっとリッチな "特等室" での乗船

■大人3名     15.000円×3=45.000円
■小学生1名        7.500円×1=  7.500円
■ 普通車(4m未満)           20.800円
                                     計          73.300円

特等室にもなると2等室よりも約30.000円も上乗せになってしまうんですね~。
ちょっと割高感もありますが、せめて死ぬまでには一度でいいから特等室でのフェリーの旅もしてみたいものですね。

 

まとめ

現在の東北太平洋地域においては、八戸~苫小牧間、仙台塩釜~苫小牧間のフェリー航路が就航している状況に、新たに宮古~室蘭間のフェリー航路が新設となります。貨物の輸送状況においては、日本全国の年間のフェリーでの荷役量は大きな変化も無く推移しているそうで、そこに宮古室蘭が新設されることによって貨物量のシェア争いが想定されるのだとか。

勿論、新たな航路を開設はしたものの、それに見合うだけの貨物量と乗船客が見込まれなければ川崎近海汽船さんも早々と撤退を余儀なくされてしまいます。

そうならないためにも、この新設の航路をどのように地域経済と結びつけていくか、運送業とそれに関連する事業者、そして観光業と行政が一体になって、この度のフェリー就航を成功させるためにやらなければならない事は少なくはなさそうです。

 

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