震災に負けず立ち上がった宮古の名も無き旅館の記録

みかわ旅館のブログ

創業の精神

2015年8月4日

ブログ開設1年

旅館のブログを始めてから、間もなく1年になります。

本業である旅館業の開業(再開)は、昨年の10月2日でしたが、その開業に合わせてちょうど去年の今頃、ホームページやブログを2ヶ月前倒しで始めていたのです。

実際に開業してからでは、ゆっくりホームページなど作っている暇など無いのは分かっていたので、これは大正解でした。

一方のブログはと言いますと、はてなブログのユーザーインターフェイスの出来の良さに助けられた部分が非常に大きく、大きな混乱もなくスタート出来た事を覚えています。

ぶっちゃけホームページはかなり苦労しましたね。

FTPサーバーとのやり取りも始めての経験でしたので、ワクワク感もそれなりになりました。

”みかわ家” 創業の精神

話がそれてしまいましたが、旅館業も今ではお陰様で軌道に乗り、沢山の常連のお客様に認知されリピート頂いている傍ら、ご新規でのお問い合わせやご予約も頂いております。大きな旅館ではないのですが、パートさんが入院してからというもの人手不足が深刻化しており、パート募集も行っているにも関わらず問い合わせはゼロです...。

人手不足 + 休日なし = 過労

という悪の方程式が成り立ってしまいますが、それでも旅館を再開したときの熱い想いは一日足りとも忘れた事がありません。

日々AM5:00時起床~業務終了PM21:00という過酷な労働環境下にあって、我々は何を糧に日々の業務をこなすのか?

それは宮古市の一日も早い復興工事の完了に他なりません。

事業者さまを受け入れる宿としては、工事の終息と同時に宿泊客の衰退も同時に起こり、新たな問題も発生しますが、私はそれをチャンスと捉えています。もう何をしようかワクワクが止まりませんね。

開業から間もない事もあり、未だに旅館業を始めて良かった!という実感に浸っている余裕も無く、日々お越し下さるお客さまをお迎えする事だけに専念している状況ですが、新たに気付かされる事も多く、ただ旅館業の難しさだけを実感しています。

宿泊業を始めたのは先々代に遡りますが、何故先祖が旅館業を始めようと思ったのか、祖父が元気なうちに聞いておけば良かったな~って最近ふと思います。

先代の創業の精神を知るというのはとても大事な事だと思います。

個人事業とはいえ、

「せめて経営理念くらい作っておいてくれたら良かったのに!じいちゃん!!」

と、今心の中で叫んでおります。

何かに迷った時、壁にぶつかった時などにふと立ち止まってしまい、どうしようも無くなった時にふと原点を振り返る事がありますが、そんな時に創業の精神がしっかり私自身が理解出来ていれば、きっとその困難を克服できる糧になるのだと思います。

但し、私の場合は、震災にて被災した稼業を再建したいという想いだけでここまで来たので、正直創業の精神とかそのような精神論は一切必要ありませんでした。

「ご先祖が守り抜いてきたこの土地と稼業を受け継ぐ」

半ばほとんどが勢いで走ってきたこの10ヶ月。

だからこそここに来て創業の精神を知りたいと強く思うようになりました。

多少なり辛いことがあっても、宿泊業を稼業とする産みの苦しみを味わった先代の苦労を少しだけでも感じ取る事が出来ている事は、ある意味幸せ...と考えるべきでしょう。

私も震災で失った建物と設備を一から作り始めるという、ある意味 「産みの苦しみ」 を痛いほど味わった訳ですが、先々代の創業の精神を理解出来るようになるのは、もしかしたら私が死ぬ間際なのかも知れません。

  • B!