哲学

クレームと向き合う

2015年11月15日

目次

今日はクレームのお話です

とは言いましても、当館が最近お客様からクレームを頂戴したとか、そんなお話ではございません。

数日前のテレビでモンスタークレーマーの話が出ていたのを観ていて、過去に自分が経験したクレームの話を思い出したので記事に描き下ろして見ようと思ったのです。

開業から1年と2ヶ月が経過しましたが、当館としてもクレームが一つも無かった訳ではありません。

 

 

当館で過去に頂いたクレーム

半年くらい前でしょうか。

とある業者さまの事務の方から予約の電話が入りました。

3名での宿泊予約でした。

あいにく空室は6畳の和室1室のみ。

お相手の事務員さんに「6畳1室しか空室がございませんが宜しいでしょうか?布団を敷きますと、かなり狭くなりますが?」

とお伝えしましたら、「大丈夫です!」と即答でした。

色々と伺ってみると、他の宿も満室で大分断られてからの当館への電話だったようです。

その事務員さんは、とにかく泊まれれば良いですという切羽詰まった状況での電話と感じましたのでご予約を受けることにしました。

3名でのご予約でしたので、作業員の方が3名での宿泊かと思いきや、当日にお越しになったのは何と、その会社の社長さまと同行する社員さん2名の計3名でのご来館。

 

 

ご案内した6畳の部屋を見るや否や、

 

「こんな狭い部屋に3名を泊める気か!?」

 

と大激怒。

 

事務員さんにご事情は説明してありますと伝えるも、一向に聞き入れてくれません。

別の部屋は無いのか?と聞かれますが、あいにくこの日は満室。

結局、この社長さんは残りの社員さんの為に部屋を使わせ、ご自分は車で寝られるとの事で夕食後に旅館を後にされました。

何とも後味の悪いクレームになってしまいました。

こちらも説明責任は全て果たしたとは言え、受け入れの判断をしたのは私です。

結果的に1名分の宿泊代は頂きませんでした。

それ以降、このお部屋にはお客様(宿泊者)からの申し出がない限り、2名以上での予約は受けない事にしました。3名で予約が入っても 「満室です」と言わざるを得ません。お客様の為にと思って受けたご予約が、結果的にお客様を逆撫でしてしまっては意味がありません。

旅館業の難しさを垣間見た出来事でした。

 

 

脳天に釘を打たれたかのようなクレーム

以前働いていたチェーンファミレスでのお話です。

チェーンレストランとはいえ、食材に拘り1品に対する調理工程はホテルの厨房並と入われるほどの拘りを持った洋食のファミレスです。

ハンバーグ・ステーキ・イタリアンを中心とするレストランで、私も食べていて美味しいと感じ、自信を持ってお客様に提供出来る商品力に優れているファミレスてあったと自負しています。

そんなファミレスでの出来事。

今から10年以上前、私が未だ20代の頃の話です。

社内試験をパスして調理長に昇格した頃だったと思います。

一人のお客様が2名連れで来店されました。

何と、オーナーのお知り合いの方です。

ハンバーグを注文されました。

その注文されたハンバーグは鉄板で焼いた後にチーズをトッピングして更にオーブンで加熱調理をするという難しい調理工程のハンバーグだったのです。

調理が終わり、ホールスタッフがお客様に提供してから数分立った頃、ホールのスタッフから声がかかりました。

「先ほどのハンバーグが生焼けでした.....」

 

 

見ると、確かに中心に火が通っておりませんでした。

慌ててお客様の席まで伺い謝罪して、直ぐに作り直しますとの旨を伝えてキッチンに戻り、新しいハンバーグを作り直すよう指示を出します。

一度生焼けを出しているので、私もアルバイトの作業確認と生焼けの原因追求のためその動作を見守ります。

ハンバーグの生焼けに関しては、厨房機器のトラブルや調理技術などの技術的要因など多々あるのですが、今日はクレームのお話ですので、ここでは割愛します。

作り直した商品をお客さままで直接届け、改めて謝罪して処理は終了したかのように思えました。

オーナーのお知り合いのお客様という事もあり、業務終了後にオーナーに電話にて業務連絡。クレーム発生の経過とともに結果を報告しました。

すると

「OK!、お詫びに手紙でも一筆書いたら印象がまた違うんじゃない?」

との指示で、そのお客様に手紙を書いて改めて謝罪しました。

その手紙が2時クレームを引き起こします。

その分面には、

「この度は大変申し訳ございませんでした。次回ご来店時にまた生焼けが発生した場合、何度でも焼き直しますので、是非またのご来店をお待ちしております」

と書いてしまったのです.......。??なんでこんな文章書いたのかな??。

すると後日、お客様からお返事が来ます。

その内容には......

「プロだったら1回でいい商品を出せよ!!、プロなんだろ!?」

と記してありました。

まさにタイトルの通り、脳天に釘を打たれたかのような感覚

お客様の仰ることは、当たり前でごもっともな話です。

完璧な商品が出来るまで何度も調理をするという行為自体がお客様を侮辱している事になります。そしてお客様はそれを望みません。

ただ、メニュー版に載っていたハンバーグを、いい品質の状態で召し上がりに来ただけなのに、完璧な商品が出来上がるまで少々お時間を下さいと言っているようなものです。

今考えると、かなり深刻な自己嫌悪に陥ってしまいます。

それ以来、私のクレームに対する謝罪の姿勢と調理に対するプロ意識が芽生えたのは言うまでもありません。当時勤務していた社員・アルバイトにも厳しく接するようになりました。女の子のアルバイトを泣かせてしまう場面も日常茶飯事でした。当時働いていた従業員は大変だったと思いますよ.......苦笑。

ただこれは、お客様の為によい商品を出すために避けれは通れませんでした。

当時の部下には恨まれているかも知れませんが、少なからず自分の調理に対する理解はして貰っていたと思っています。

手紙の文面に余計な一行を付け加えただけのことでお客様を逆撫でしてしまったこのクレーム。結局は私のお客様に対する思いと調理に対する慢心から出てしまった言葉だったのかも知れません。

 

 

クレームと真摯に向き合う

出したいと思って出したわけでもないクレーム。

提供する商品についての不満だったり、接客態度、設備、メニュー、価格についてと クレームの種類も多岐に渡ります。

時にはヘビークレーマーに翻弄された時もありました。

しかし、接客業を選んだ以上、避けては通れない道なのです。

一言にクレームとは言っても、この飲食店での経験の通りそのクレームによって自らの慢心に気付かされたり、その携わる事業において自分が気付かされていない部分を指摘して下さるお客様は、本当の意味での神様であると思います。

それがきっかけとなって、自身がスキルアップ出来たり、問題点を改善することによってお店全体のスキルが向上して顧客満足度が上がり、結果的に売上が上がったのなら、もうそのお客様に足を向けてなんて寝られません。

 

クレームを一つ言われたのなら、それは氷山の一角

 

他のお客様はお店の問題に気づいていても口にしないだけ。

”一つクレームが発生した日は、最低10件のクレームがあったと認識しなさい” と当時のSVに教わりました。

全てのお客様がクレームを言うなんて考えられませんからね。

従業員もお店を良くしたいと思う一方で、お客様の立場から取ってみてもそれは同じことなんだと思います。

私が言うのも説得力のかけらもないですが、お客様からのご意見を真摯に受け止め、改善に向けて取り組んできた企業は伸びます。 戦後、そうやって日本の企業は伸びて来ました。お客様を大事にする気持ちが新たな製品開発に費やされ、ご意見・苦情を時期製品にフィードバックする構図が出来上がったから、世界に認められるものづくりの国へと成長を遂げてきたのだと思います。

接客業も同じです。

一つのクレームを長い時間を掛けてでも大事にして改善に向けて取り組む事で、クレームは減るものと思います。クレームが減れば顧客満足度も上がり、やがては売上の向上(維持)に繋がります。

たかがクレーム、されどクレーム。

今回は文書のみの記事となってしまいました。

最後まで読んで下さった方、本当にありがとうございます。

 

 

 

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